Contents

南イタリア・ティレニア海に面したカンパーニャ州は、州都ナポリやアマルフィ海岸で知られる観光地であると同時に、イタリアで最も古いワインの歴史を持つ銘醸地のひとつです。ヴェスーヴィオ火山に代表される火山性の土壌と、内陸イルピニアの標高の高い丘陵地が、フィアーノやグレコといった個性豊かな白ワインと、「南のバローロ」とも称されるアリアニコの赤を生み出します。
今回は次回入荷予定のテヌータ・ドンナ・エルヴィーラのワインとともに、カンパーニャワインの特徴をご紹介します。
カンパーニャ州のテロワール – 火山・海・内陸の丘
主要なワイン産地
カンパーニャ州は5つの県からなり、それぞれが個性的なワインを育んでいます。
- アヴェッリーノ県(イルピニア地区):内陸の山がちな地域。州を代表する3つのDOCG、タウラージ/フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ/グレコ・ディ・トゥーフォを擁する、カンパーニャ高級ワインの中心地です。
- ベネヴェント県(サンニオ地区):州最大の生産量を誇る丘陵地帯。ファランギーナをはじめ、親しみやすいワインの産地です。
- ナポリ県:ヴェスーヴィオ火山周辺。ラクリマ・クリスティで知られる火山性ワインの地です。
- カゼルタ県・サレルノ県:海沿いの温暖な地域で、土着品種を用いた軽快なワインを生産しています。
火山と石灰が生む土壌の多様性
カンパーニャのテロワールを語るうえで欠かせないのが火山の存在です。ヴェスーヴィオやカンピ・フレグレイ(フレグレイ平野)の噴火による火山灰土壌に加え、内陸イルピニアには「トゥーフォ(凝灰岩)」と呼ばれる火山性の岩盤や、石灰・粘土質の土壌が広がります。これらのミネラル豊富な土壌が、ワインに塩味を帯びた独特のミネラル感と複雑さを与えています。

古代ギリシャから続くブドウ栽培
カンパーニャは、紀元前のギリシャ植民(マグナ・グラエキア)の時代からワインが造られてきた土地です。アリアニコ(名の由来は古代ギリシャに結びつくとも言われます)やグレコといった品種名にも、その古い歴史が刻まれています。
気候特性 – 地中海性と内陸の冷涼さ
カンパーニャの気候は、海岸部の温暖な地中海性気候と、内陸イルピニアの冷涼な気候が共存しているのが特徴です。
海岸部
温暖で日照に恵まれ、ふくよかな果実味のワインを生みます。
内陸イルピニア
標高350〜600mの高地で昼夜の寒暖差が大きく、白ワインに豊かな酸とアロマを、赤ワインにエレガンスをもたらします。
特にアリアニコは晩熟品種で、10月中旬以降にじっくりと成熟することで、しっかりとしたタンニンと酸を備えた長期熟成型の赤ワインになります。

カンパーニャ州ワインの特徴
主要ブドウ品種
白ワイン品種
- フィアーノ:洋梨やハーブ、ナッツを思わせる複雑な香り。熟成のポテンシャルも高い高貴な品種です。
- グレコ:グレープフルーツや白い花の香りに、しっかりとしたミネラルと塩味が重なります。
- ファランギーナ:地中海のハーブや白い果実の爽やかな香り。フレッシュで親しみやすい味わいです。
赤ワイン品種
- アリアニコ:州を代表する黒ブドウ。濃厚な果実味と力強いタンニン、長い余韻を持ち、タウラージの主役。「南のバローロ」とも呼ばれます。
- ピエディロッソ:しなやかで親しみやすい、カンパーニャの土着赤品種です。
ワインスタイルの特徴
カンパーニャワインは、南イタリアらしい豊かな果実味を持ちながら、火山・石灰土壌由来のミネラル感とシャープな酸を備えているのが魅力です。白は長期熟成にも耐える骨格を持ち、赤はエレガントで奥行きのある味わいに仕上がります。
カンパーニャ州のローカルフード文化
カンパーニャは、ナポリピッツァや水牛モッツァレラ(モッツァレラ・ディ・ブーファラ)、サンマルツァーノ種トマトなど、イタリア食文化を象徴する食材の宝庫です。

海沿いでは魚介を使ったパスタや料理が、内陸イルピニアでは肉料理や栗(モンテッラ産が有名)、カチョカヴァッロなどの熟成チーズ、トリュフを使った素朴で力強い郷土料理が楽しまれています。
今回ご紹介するワインの産地イルピニアは、こうした山の幸とワインが寄り添う食文化を育んできました。
次回入荷予定:テヌータ・ドンナ・エルヴィーラ
今回ご紹介するのは、イルピニアの造り手 テヌータ・ドンナ・エルヴィーラ が手がける5本。いずれも収穫後12か月以上の熟成を経た、土地の個性が詰まったワインです。各ワインの「おすすめの料理」は生産者の推奨に基づいています。
1. グレコ・ディ・トゥーフォ DOCG “エギディウス” 2021(白)
グレコ100%。濃い麦わら色で、グレープフルーツやオレンジの花、ビワの香り。豊かで調和の取れた口当たりと、心地よいミネラル感・塩味の余韻が長く続きます。
おすすめの料理:魚のタルタル、甲殻類料理、リゾット
2. フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ DOCG “フィンク” 2021(白)
フィアーノ100%。柑橘の果皮やウィリアムズ梨の果実香にフローラルなニュアンスが加わり、品種特有のハーブやスパイスの香りが引き立ちます。フレッシュさと豊かさ、心地よい塩味が美しく調和します。
おすすめの料理:食前酒として軽いおつまみ、魚料理、白身肉、サラダ、フレッシュチーズ
3. ファランギーナ DOC イルピニア “フリンジッラ” 2021(白)
ファランギーナ100%。地中海のハーブや白い果実のニュアンスが際立ち、繊細なミントが余韻を形づくります。フレッシュさが光る力強い味わいで、ふくよかで満足感のある口当たりが特徴です。
おすすめの料理:前菜、スープ、白身肉、魚料理、チーズと幅広く
4. アリアニコ DOC イルピニア “セッテマッツェ” 2019(赤)
アリアニコ100%。濃いルビーレッドで、熟した赤い果実やブラックベリー、サワーチェリー、スミレ、森の下草を思わせるアロマ。柔らかく豊かな口当たりに力強さと長い余韻が備わり、フィニッシュには心地よいスパイスの風味が広がります。
おすすめの料理:肉料理、パスタなどの前菜から主菜、熟成チーズ
5. タウラージ DOCG “インディコス” 2019(赤)
アリアニコ100%、アルコール14%。フルボディで力強くエレガント。小さなベリー系果実や花に、スパイス、リコリス、クローブ、カカオなどが重なる複雑な香り。しっかりとした骨格にシルキーなタンニンと活き活きとした酸が調和し、フレンチオーク新樽で18か月熟成された本格派です。
おすすめの料理:肉料理、ジビエ料理

まとめ
カンパーニャ州は、火山と海、そして内陸イルピニアの丘がそれぞれ異なる個性のワインを生む、南イタリア屈指の銘醸地です。古代ギリシャから続く歴史を受け継ぐフィアーノ・グレコ・ファランギーナの白、そして「南のバローロ」アリアニコの赤 — テヌータ・ドンナ・エルヴィーラの5本は、その魅力をまっすぐに伝えてくれます。
入荷をどうぞお楽しみに!




