イタリアスパークリングワインの今

イタリア産スパークリングワインが今世界的に注目を集めています。2024年のプロセッコ輸出量は、前年比16%増の2億9600万リットルに達し、売上高は13億ユーロ(約2110億円)という驚異的な成長を見せています。この背景には、手頃な価格帯でありながらも高品質であるという点があり、世界中の消費者がシャンパンに代わる選択肢として注目しています。

イタリアでは、スパークリングワインを「スプマンテ(Spumante)」と呼び、各地域で個性豊かなワインが造られています。今回は、イタリア各地の代表的なおすすめスパークリングワインを、その特徴からそれぞれの楽しみ方まで詳しくご紹介します!

スパークリングワイン おすすめ イタリア

イタリアスパークリングワインの基礎知識

スプマンテとフリッツァンテの違い

イタリアのスパークリングワインは大きく2つに分類されます。

  • スプマンテ(Spumante): ガス圧3気圧以上の本格的なスパークリングワイン
  • フリッツァンテ(Frizzante): ガス圧が1~2.5気圧までの微発泡ワイン

主要な製法

イタリアのスパークリングワインは、主に以下の製法で造られています。

  1. シャルマ法(タンク方式): プロセッコなどで使用される効率的な製法
  2. 瓶内二次発酵法: アルタ・ランガ、トレント、フランチャコルタなどで採用されるシャンパンと同じ伝統的製法
  3. アスティ方式: モスカート・ダスティなど甘口ワインで使用される特殊製法

イタリアスパークリングワインの製法については、以下の記事にも掲載していますので参考にしてください。

参考:プロセッコとは?

地域別 イタリアスパークリングワイン

スパークリングワイン おすすめ イタリア

1. アルタ・ランガ(ピエモンテ州)

特徴:北イタリア・ピエモンテ州で造られる、比較的最近 (2011年) DOCG格付けを獲得した高級スプマンテ。シャンパンより2倍ほど長い最低30ヶ月以上の瓶内二次発酵法で製造され、設備投資や販売までに長い時間を要することから、生産者にはワイン作りに対する情熱がより一層必要となる、近年注目のイタリアンスパークリングワインです。辛口のスパークリングワインの走りとなった銘柄で、1920年代にはイギリス王室向けに生産されていました。

  • 主要品種:シャルドネ、ピノ・ネーロ
  • アルコール度数11.5%以上
  • 最低酸度:5.0g/l
  • 最低標高:250m 以上
  • 推奨グラス:シャンパンフルート
  • 熟成期間最低30カ月の瓶内熟成 (リゼルヴァは36ヶ月以上)

ペアリング

  • 前菜: 牡蠣、カルパッチョ
  • メイン: 白身魚のグリル、魚介のリゾット、寿司
  • チーズ: パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴルゴンゾーラ

産地の特徴:標高の高いエリアは夏の寒暖差が激しく、土壌の水捌けも良い。バローロやバルバレスコといった世界中から愛されるワインと同じ土地で作られるため、ブドウは必然的に最高品質のクオリティとなり、そこから更に手間暇を惜しまず精密に作り上げられます。 

2. プロセッコ(ヴェネト州・フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州)

特徴:プロセッコは、グレラ種を主体とした軽やかで親しみやすい味わいが特徴です。 プロセッコの中にも格付けが存在し、高品質なものは味も品質も別格のものも存在します。

  • 主要品種:グレラ(最低85%)
  • アルコール度数10.5~12%
  • 推奨グラス:フルートグラス
  • 製法シャルマ法(タンク内二次発酵)

品質レベル

  • プロセッコ DOC:一般的な品質レベル
  • コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ・プロセッコ DOCG:最高品質

ペアリング

  • アペリティフ: オリーブ、ナッツ類、天ぷら
  • シーフード: カキ、エビのカクテル
  • 軽食: ブルスケッタ、フォカッチャ

産地の特徴:プロセッコの産地は、主にイタリアのヴェネト州、トレヴィーゾ県周辺です。特に、コネリアーノ地区とヴァルドッビアーデネ地区が古くからの銘醸地として有名で、標高100-500mの斜面にブドウ畑が広がり、日当たりが良く、アルプス山脈やアドリア海からの風による影響で適度な酸味と熟度を保ったブドウが栽培されます。

参考:プロセッコとは?

3. フランチャコルタ(ロンバルディア州)

特徴:北イタリア・ロンバルディア州のフランチャコルタ地方で造られる、最高級スプマンテ。シャンパンと同じ瓶内二次発酵法で製造されています。

  • 主要品種:シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ
  • アルコール度数11.5~12.5%
  • 推奨グラス:シャンパンフルート、またはチューリップ型グラス
  • 熟成期間最低18カ月の瓶内熟成

ペアリング

  • 前菜: 生ハムとメロン、カルパッチョ
  • メイン: 白身魚のグリル、リゾット
  • チーズ: パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴルゴンゾーラ

産地の特徴:イゼオ湖の南に広がる丘陵地で、石灰粘土質の土壌がスパークリングワインに最適なブドウを育てる環境です。

4. トレント(トレンティーノ・アルト・アディジェ州)

特徴:トレンティーノ・アルト・アディジェ州で生産される、瓶内二次発酵で造られるスパークリングワイン。シャープな酸味とミネラル感が特徴で、長期熟成能力が高いとされています。

  • 主要品種:シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ムニエ
  • アルコール度数12~13%
  • 推奨グラス:シャンパンフルート、またはチューリップ型グラス
  • 熟成期間最低15カ月の瓶内熟成

ペアリング

  • 前菜: 天ぷら、白身魚のカルパッチョ、カキフライ
  • メイン: バッカラ(干し鱈)、魚介のリゾット
  • チーズ: シェーヴル(山羊乳)、ゴルゴンゾーラ

産地の特徴:イタリア最北にあるトレンティーノ=アルト・アディジェ州の美しいドロミテの山々が広がるワイン産地で、第一次世界大戦までオーストリア領だったこの地域の人々の気質は几帳面で、カッチリとした正確なワインを作ります。

5. ランブルスコ(エミリア・ロマーニャ州)

ランブルスコ

特徴: エミリア=ロマーニャ州で造られる、微発泡ワイン。赤が有名ですが、白やロゼもあり、味わいも甘口~辛口まで幅広く存在します。

  • 主要品種:ランブルスコ各種(サラミーノ、ソルバーラ、グラスパロッサなど)
  • アルコール度数8~11%
  • 推奨グラス:中程度のワイングラス
  • 特徴:フリッツァンテタイプの微発泡
  • 製法:主にシャルマ方式(一部では伝統製法)

味わいの分類

  • セッコ(Secco): 辛口
  • セミ・セッコ(Semi-Secco): やや辛口
  • アマービレ(Amabile): やや甘口
  • ドルチェ(Dolce): 甘口

ペアリング

  • 郷土料理: トルテリーニ、モルタデッラ
  • 肉料理: サラミ、プロシュート
  • チーズ: パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ

産地の特徴:ランブルスコの産地はイタリア最長の河川、ポー川の下流域、エミリア・ロマーニャ州のレッジョ・エミリアモデナパルマとロンバルディア州の国境であるマントヴァにまたがって広がっています。このエリアは肥沃な粘土質の土壌と石灰岩の土壌が程よく折り重なり、気候は比較的温暖なため、ブドウの収穫量が他の地域に比べ多い特徴があります。

6. アスティ・スプマンテ(ピエモンテ州)

特徴:モスカート・ビアンコ種で造られる甘口のスパークリングワイン。華やかなマスカットの香りと、しっかりとした泡が特徴です。

  • 主要品種: モスカート・ビアンコ(100%)
  • アルコール度数7~9.5%
  • 推奨グラス:フルートグラス
  • 特徴:天然の甘さと低アルコール
  • 製法:アスティ製法

ペアリング

  • デザート: フルーツタルト、ティラミス
  • チーズ: マスカルポーネ、リコッタ
  • 軽食: カンノーリ、パネトーネ

産地の特徴:アスティ・スプマンテが作られるイタリア北部、ピエモンテ州は言わずと知れたワインの銘醸地。世界に名高いバローロやバルバレスコなどが生まれるこの地域は、水捌けの良い土地、標高差があり夏の寒暖差の大きい丘陵地、日当たりなど、ワイン作りに最も優れたエリアの一つです。

7. モスカート・ダスティ(ピエモンテ州)

特徴:モスカート・ビアンコ種から造られる甘口の微発泡スパークリングワイン。アスティ・スプマンテに比べて泡が優しく(フリッツァンテ)、アルコールも若干低めなのが特徴です。最近では長期間寝かせてから味わいうのもトレンドになっています。

  • 主要品種: モスカート・ビアンコ(100%)
  • アルコール度数4.5~6.5%
  • 推奨グラス:フルートグラス
  • 特徴:低アルコールで優しい微発泡
  • 製法:アスティ製法(密閉タンク内での熟成期間がアスティ・スプマンテに比べ短めで、泡が優しい)

ペアリング

  • デザート: フルーツ全般
  • チーズ: マスカルポーネ、リコッタ
  • 軽食: カンノーリ、パネトーネ

産地の特徴:モスカート・ダスティが作られるイタリア北部、ピエモンテ州は言わずと知れたワインの銘醸地。世界に名高いバローロやバルバレスコなどが生まれるこの地域は、水捌けの良い土地、標高差があり夏の寒暖差の大きい丘陵地、日当たりなど、ワイン作りに最も優れたエリアの一つです。

スパークリングワインの楽しみ方

適切な温度管理

イタリアのスパークリングワインはフルーティさが特徴。基本的には冷やして温度を低めにしてすっきりと味わうのがおすすめですが、常温の室温より少し低め(15-20℃)くらいであればふくよかさが際立って感じることができます!

スパークリングワイン温度管理
  • アルタランガ: 6-8℃
  • プロセッコ: 6-8℃
  • フランチャコルタ: 6-8℃
  • トレント: 6-8℃
  • ランブルスコ: 8-10℃ 少し高めでもOK。
  • アスティ(モスカートダスティ): 6-8℃

グラス選びのコツ

それぞれ特徴を楽しめるワイングラスで飲むとさらに味わいが楽しめます!

  1. フルートグラス:泡立ちを長時間楽しめる。アルタランガ、アスティやプロセッコに最適
  2. チューリップ型:香りを集約し、複雑な味わいを楽しめる。フランチャコルタに適しています
  3. ワイングラス:味わいを十分に感じられる。ランブルスコなどに推奨

保存方法

ワイン全体に言えますが、特にスパークリングワインは温度変化は避けたいところ。適切に管理して、発泡感が楽しめるうちに飲み切るのがおすすめです!

  • 開封前:冷暗所で横に寝かせて保存
  • 開封後:スパークリングワイン専用ストッパーを使用し、冷蔵庫で2-3日以内に消費するのが好ましい

2025年のトレンドと選び方のポイント

2025年のトレンド

イタリア産ワインの輸出市場において、今大きく成長している分野は、間違いなくスパークリングワインといえるでしょう。

特に以下の傾向が見られます。

  1. オーガニック・スパークリングワインの台頭:フランチャコルタの約70%が有機栽培、もしくは有機栽培へ移行中
  2. プレミアム化の進行:より高品質なスパークリングワインへの需要増加
  3. 多様性の追求:各地域の個性を活かした独創的なワイン造り

イタリアのワインの消費傾向をデータでみると、アルコール全般の消費量は減少傾向にある一方で、ワインの消費量は増加しており、特にプレミアムワイン、より高品質なワインの消費が伸びています。

ワインラバーの半数以上が、プレミアムワインを選ぶ際に「品質」が最も重要だと考えており、次いで「その場所ならではのユニークな提供」がポイントとされています 。

また、カクテルのトレンドも注目されており、夜のバーで最も人気のあるカクテル10種類のうち、4種類がスパークリングワインをベースにしているというデータがあります。イタリアではアペリティーボ(食前酒)の時間に多くお金を使っている傾向(31%)があり、レストランでプレミアムワインを選ぶそう(43%)。

カクテルなら、開けたスパークリングワインを「隠し味」として活用もできるので、飲み切らなくても別の形で特別な一杯を楽しむことができます。飲食店なら、今のお店のワインリストを見直すヒントとして活用いただけると嬉しいです!

初心者向けの選び方

  1. 最初の一本:プロセッコ DOC がおすすめ!
  2. 特別な機会:アルタランガ、フランチャコルタ DOCG
  3. カジュアルな食事:トレント、ランブルスコ・セッコ
  4. デザートワイン:アスティ・スプマンテ、モスカートダスティ

まとめ

イタリアのスパークリングワインは、それぞれの地域が持つ個性と伝統が生み出した多様性に富んだ世界。フランチャコルタの上品な泡立ちから、プロセッコの親しみやすさ、ランブルスコの郷土色豊かな味わい、アスティの甘美な香りまで、シーンや好みに合わせて選ぶ楽しさがあります。

手頃な価格で高品質なイタリアンスパークリングワインは、日常の食事から特別な日まで、あらゆる場面で私たちの生活を豊かにしてくれます。ぜひお気に入りの一本を見つけて、イタリアの泡立つ情熱を味わってみてください!


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